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2015-03-24(Tue)

春画・4~【喜多川歌麿『歌満くら(第一図)』】〈追記〉

先の『歌満くら(第一図)』の文章で「岩の上の海女が…笑っている」と書きましたが、
河童に襲われている仲間?を笑いながら見ているというのはやはりおかしいと思い画集の図版を再確認いたしましたら、
少し慄いているようにさえ見える真面目な表情をしているようでございます。

口元に手を当てているので「おほほ」と笑っているものと早合点してしまいました。

この手は怯えている動作でございましょう。

水中で一人の海女が二匹の河童に襲われそれをもう一人の海女が見ている、
というこの構図が私には不自然に思えてなりませんでしたが、
岩の上の海女が慄きながら水中の惨事を眺めているとすると―ここからは私の勝手な解釈でございますが…


水中で漁をしていた二人の海女が二匹の河童にそれぞれ襲われるも、
海女の一人は河童から逃げおおせて岩の上に上がり、
自分を襲った河童ともども二匹の河童に襲われることになった同僚を恐怖と罪悪感の混じった気持ちで眺めている…。


と見えて得心がいったのでございます。

これならば襲っている河童が二匹なのも、岩上の海女が惨事を眺めているのも納得できましょう。

しかしながら私は個人的に密かに空想を巡らしております。

私にとって河童は死の象徴でございます。

そういう目でこの絵を見ますと…


水中で河童(死)に襲われ今まさに溺れ死なんとする海女、
その姿をもう死んでしまった同じ海女(の霊魂)自身が眺めている…。


と、いう解釈も可能ではないでしょうか。

歌麿が「それは違う」と言っても無駄でございます。

何故なら描かれてしまった作品は作者の手を離れて独立し自由な存在になるからでございます。

もっとも歌麿は自分の作品を囲いの中に閉じ込めるような無粋な真似は決してしないでしょうが。

さて、ならば私の『河童と海女』はどうでございましょう。

もちろんこの私の作品世界も皆様の手に委ねたいと思います。

ご自由に妄想を膨らませてくださいませ。

2015-03-23(Mon)

春画・4~【喜多川歌麿『歌満くら(第一図)』】

春画・4~【喜多川歌麿『歌満くら(第一図)』】

春画はただ男女の交合のみではなく動物や妖怪などが女性とまぐわる構図も結構あり、
北斎の蛸と海女の作品がよく知られるところでございます。

この歌麿の作品は河童と海女でございまして、
水中で二匹の河童に陵辱されている海女をもう一人の海女が岩の上から見下ろしております。

少し不可解な構図に感じるのは、
岩の上の海女が水中の惨事を眺めているにしては笑っているからでございましょう。

さて、私が『河童と海女』を描くにあたってこの作品が頭にあったのは確かなのですが、
今あらためてこの歌麿の作品を確認してみると、
河童の表情や舌を出しているところ、また玉門にペニスを充てがっている構図など妙に共通する部分があるように感じまして、
200年以上の時を超えて歌麿とリンクしたような気がいたしております。

調べましたら河童というもののモデルには諸説いろいろあるようなのですが、
私が一番感銘を受けた説は「水死体説」でございます。

ウィキペディアに書かれておりますので興味がおありの方は御一読頂くとして、
なるほどさもありなんと思わされる説得力を感じます。

河童の元が「水死体」だとすると…河童は「死」の象徴ではないでしょうか。

いや、私はそう理解して『河童と海女』を描いたのでございます。

歌麿の“河童と海女”と、私の“河童と海女”…江戸と平成の違いを味わって頂ければ幸いでございます。

2014-10-17(Fri)

春画・3~【菱川師宣『欠題組物Ⅲ』】

春画・3~【菱川師宣『欠題組物Ⅲ』】

菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)は江戸初期の絵師で、浮世絵の創始者と言われております。

それまでは絵本の挿絵などのレベルだったものを独立した鑑賞される作品として浮世絵を確立させた人物らしく、

最初の浮世絵師ともいわれているそうでございます。

有名な『見返り美人図』を描いた人と言えばピンと来るのではないでしょうか。

私もこの『見返り美人図』は後ろ姿の女性を描くときには必ず意識いたします。

なんと300年以上あとの世代まで影響を与えている大先輩でございますね。

絵柄はご覧のとおりでございまして、まさしく初期の浮世絵然としております。

エロというより風流ささえ感じる簡素な絵柄でございますね。

ここから始まった浮世絵春画が200年ほど掛けて末期の北斎レベルまで成熟していくことを思えば感慨深いものを感じるのでございます。

2014-10-12(Sun)

春画・2~【喜多川歌麿『ねがひの糸ぐち(第七図)』】

春画・2~【喜多川歌麿『ねがひの糸ぐち(第七図)』】

春画といえば歌麿でございますね。

正直に言いまして個人的には歌麿の春画がダントツにエロいとは思いませぬが、

非常に個性的で洗練されていて、春画の第一人者と目されるのも頷けるところでございます。


春画では男根をあり得ないほど巨大に描きます。

秘部を強調する演出以外に巨根に対する信仰にも似た願望と羨望を感じますが、

昔は、外国の方が「ウタマロ」といえば巨根の持ち主を意味していた気がいたします。

歌麿は春画の代名詞にまでなった絵師といえましょう。

2014-10-09(Thu)

春画・1~【歌川豊国『逢夜雁之声』】

春画・1~【歌川豊国『逢夜雁之声』】

名作春画の数々をご紹介させて頂こうかと存じます。

私は春画に詳しいわけでもございませんので自分の勉強も兼ねて、のコーナーでございます。

著作権が気になりますが絵師は皆様、

とうの昔に亡くなられているのでオーケーかなと勝手に決めての見切り発車でございます。


まず第一回目は歌川豊国の『逢夜雁之声』。

これは艶本でして、その内の見開きで描かれた一枚。

他の絵も4pあり縛りありと、現代に通ずる構図とバラエティでございます。

特にこの絵を取り上げましたのは、

エロ絵師として個人的に感銘するものがあるからでございます。

絵柄は言うまでもなく江戸の浮世絵。

現代の我々の絵柄とはかけ離れておりますが、

この言い知れぬエロ(エロチシズム、ではなく)は何なのでしょう。

私は、それは豊国の迸る助平心だと思うのでございます。

そして隠そうなどと思いもしない結合部。

これこそ「エロ絵」の原点ともいうべき春画でございます。


タイトルの読みは「おおよがりのこえ」。

こんなタイトルの発想も私は大いに共感するところでございます。

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Author:歓喜天翁
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自作のエロ画春画を中心に、その他エロに関わることを載せていく所存でございます。
貴方様の心の憩いの場になりましたら嬉しゅうございます。
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