2015-03-23(Mon)
春画・4~【喜多川歌麿『歌満くら(第一図)』】
春画はただ男女の交合のみではなく動物や妖怪などが女性とまぐわる構図も結構あり、
北斎の蛸と海女の作品がよく知られるところでございます。
この歌麿の作品は河童と海女でございまして、
水中で二匹の河童に陵辱されている海女をもう一人の海女が岩の上から見下ろしております。
少し不可解な構図に感じるのは、
岩の上の海女が水中の惨事を眺めているにしては笑っているからでございましょう。
さて、私が『河童と海女』を描くにあたってこの作品が頭にあったのは確かなのですが、
今あらためてこの歌麿の作品を確認してみると、
河童の表情や舌を出しているところ、また玉門にペニスを充てがっている構図など妙に共通する部分があるように感じまして、
200年以上の時を超えて歌麿とリンクしたような気がいたしております。
調べましたら河童というもののモデルには諸説いろいろあるようなのですが、
私が一番感銘を受けた説は「水死体説」でございます。
ウィキペディアに書かれておりますので興味がおありの方は御一読頂くとして、
なるほどさもありなんと思わされる説得力を感じます。
河童の元が「水死体」だとすると…河童は「死」の象徴ではないでしょうか。
いや、私はそう理解して『河童と海女』を描いたのでございます。
歌麿の“河童と海女”と、私の“河童と海女”…江戸と平成の違いを味わって頂ければ幸いでございます。